経験者採用 学事業務に携わる

憧れの航空会社に就職したものの、30歳で転職。その先として、母校の慶應義塾大学を選んだ源堅一郎さん。その理由はどこにあったのかーー。国際色豊かなSFCを舞台に、海外広報や留学生のサポートを行う源さんに、慶應義塾大学で働くことの意義や魅力について聞きました。

「ここしかない」。転職の決め手は、人の温かさ

慶應義塾大学の経済学部を経て、大学院を修了したのちに、2004年に航空会社に就職しました。もともと飛行機好きだったのと、国際ビジネスに関わる仕事をしたかったんです。小さい頃からの憧れの航空会社に入れてうれしかったですね。空港・予約センターという最前線のお客様サービスからキャリアをスタートして、本社の営業、最後は航空機の資産会計などを担当していました。30歳という節目の歳を迎えた時に、これからの自分の人生について改めて考えて、「ここしかない」と、母校、慶應義塾大学への転職を決めました。実は新卒の時に慶應義塾大学への就職も考えてはいたのですが、採用試験のスケジュールの関係で、先に航空会社の内定をいただいていたので、受験しなかったんです。

それほどまでに慶應義塾大学を志望したのは、ひとえに学生時代の経験からです。当時、初代「学生スポーツ振興委員会」の一員として、塾内のスポーツイベントの運営をしていたのですが、その際、多くの教職員の方々にとても暖かく接していただきました。また、スポーツ以外にも、福澤先生の史跡を辿る研修合宿やスキーの集いなど、大学が主催するさまざまなイベントに積極的に参加していましたが、その際にも、職員の方々の印象がとてもよく、その方々と一緒に仕事をしたり、同じようにこれから社会に出て行く学生をサポートできたら、とても充実した社会人生活を送れるのではないかと考えたのです。慶應義塾大学の塾生や教職員たちの支え合う絆、「社中協力」を感じ、そこに惹かれたのかもしれません。今も、仕事を進める上で、社会で活躍する塾員の方々や三田会(慶應義塾大学の同窓会組織)にご協力いただくことがあり、ネットワークの広さ、強さのありがたさを感じることは多いですね。

「気持ち」を伝える仕事は、大きなやりがい

慶應義塾大学に就職し、最初は日吉キャンパスの学生部学事担当を務めました。主に理工学部1・2年生をサポートする職場です。教育・研究・医療を事業の柱とする中で学事担当は「教育」サポートの中心です。(キャンパスにより組織名称は異なりますが)履修や成績、カリキュラム編成などを管理する学事担当、学生の課外活動・奨学金などを支援する学生生活、進路相談やOB・OGの紹介、就職ガイダンスの開催をする就職担当、そして留学生支援や交換留学など国際化推進を担う国際担当ととても幅広い分野をサポートしています。私は理工学部担当後、SFCに異動し、現在は学生部の国際担当を担っています。SFCは比較的留学生も多いので、キャンパス全体の国際化を目指してさまざまな業務に従事しています。海外広報活動もその一つです。慶應義塾大学は、海外での知名度がそう高くないので、現地の高校教員や留学希望者と何度も連絡を取りあったり、大学のことや英語プログラムについて細かく情報をお知らせしたりと、海外広報は地道な活動も多いです。現在はインターネットを中心としたSNSで広報も盛んであるため、WebページやFACEBOOK更新なども行っております。また、実際に留学生が来た後の生活サポートも国際担当の仕事です。高校を卒業してすぐ来日する留学生が多いので、日本での生活立ち上げにあたっては困難がとても多いんです。市役所や銀行に一緒に行ったり、携帯電話を契約しに行くなどの日常生活のサポートも行っています。そんなところから少しずつ学生との距離が縮まり信頼関係が生まれてくるのではないかと思っています。

そういった中で、様々な広報の場面において、どう説明したら慶應義塾大学の魅力を相手に伝えられるか、それを工夫するのが、私の大きなミッションのひとつであり、とても面白くやりがいを感じている部分です。海外や留学生を相手にする国際担当ではありますが、実はこれまで海外経験はありませんでした。正直言って、言葉の壁は大きなハードルですが、留学生をはじめとする学生のみなさんが求めているのは、「言語」だけじゃないと思うんです。しっかりと同じ視点で「気持ち」を伝えることが大切だと思います。もともと人と話したりコミュニケーションとることが好きですので、今ではそれを自分の強みとして全面に出して頑張っています。もちろん、その「気持ち」を伝えるために必要な勉強は、自分自身で日々心がけるようにしています。英会話学校などの授業料を大学から一部補助いただけるのでとても助かっています。

なによりも「人」が魅力

職場としての慶應義塾大学の良さは、第一に「人」だと思います。部門間の壁も低く、みなさん親身にしてくださるので、とても働きやすいです。入学式や卒業式、入学試験は「要員派遣」といって様々な部署から集まり協力し合います。その中で普段業務ではかかわらない他部署の方々とも知り合うことができるんです。また、ジョブローテーションも部門問わず隔てなくおこなわれ、いろんな業務を経験する機会があるので、自分自身の成長の糧になると思います。他にも1年目からさまざまな研修も用意されているのでステップアップにはとてもよい環境です。私自身は最近、短期の海外研修に参加してきました。シドニー大学が主催している国際リーダーシップセミナーというプログラムに行ったのですが、大学経営において国際志向が高まる中、シドニー大学が留学希望者や職員向けにどのようなことをやっているかということを学びました。一週間という短い期間ではありましたが、たくさんのヒントを得ることができ、またシドニー大学や他大学の職員との交流もでき、とても勉強になりました。

経験者採用というと、その人の専門性を期待する企業もあると思いますが、慶應義塾大学の場合、経験者であっても新卒の方々と同じようにジョブローテーションの中に入ります。その中でよりよい仕事をするには、前職の経験を鑑みつつも、慶應の文化や伝統と照らし合わせながら、自分をその場でどう生かせるかという真摯で柔軟な視点が大切だと思います。慶應義塾大学は、学生にも「独立自尊」というメッセージを送っていますが、職員も同じですね。