経験者採用 慶應義塾から海外へ、塾生の派遣業務に携わる

海外での暮らしや、働いてきた経験すべてが活きる。中島百々香 学生部 国際交流支援グループ

幼少の頃より大学入学までフランスのインターナショナルスクールで過ごし、慶應義塾の法学部入学を機に帰国。卒業後はPR会社に就職し様々な経験を積む。働く中で、大学や教育関係のPRに興味をもち転職。現在は、母校である慶應義塾で今までの経験をフルに活かしてイキイキと仕事をする中島 百々香さんに、過去の経験がどのように大学現場で活かされているのか、また大学での仕事の楽しさについて聞きました。

インターナショナルスクールで培ったことと、
慶應義塾との出会い

親の仕事の都合で、5歳からオランダ、7歳からフランスで過ごしていました。フランスではインターナショナルスクールに通いました。そこに通って良かったことは、語学を習得できたことはもちろんのこと、幼い時から、肌の色も国籍も階級も違った様々な国の人たちと同じ空間で過ごしたことにより固定概念というものがなくなり、とてもフラットな状態で人と話をすることができたこと、また様々なことに挑戦できたとことです。

大学進学を決める際に、日本の大学に行くか、海外の大学に行くか、フランスに残るのか、どのような選択をすべきかを考えていました。その頃、私が日本人であるということで、色々な人から日本のことを質問されることがありました。そのような中で、幼少期から海外に住んでいたため、自分が日本人であるのに「日本のことをあまり知らない」ということが自分のコンプレックスになっているということに気づきました。それを機に、日本に帰国して日本の教育を受けたいと考えるようになりました。高校の時に取得した国際バカロレアという資格を活かして慶應義塾大学の法学部を受験し、合格したので帰国しました。

仕事を通して学び鍛えられ、より活躍できる舞台を探して

大学卒業後、外資系のクライアントを多く持つPR会社に入社しました。法律とは全く違う方面での就職でしたが、きっかけは、大学でそのPR会社の寄付講座を受け、仕事内容にとても興味を持ったことでした。PR会社での業務内容は、クライアント企業の広報から業務を委託され、プレスイベントを企画・実施したり、テレビ局や雑誌の編集部に営業に行ったり、海外への広報や取材対応などをしていました。
新しいニュースをつくり、メディアに発信するということは、日々時間との戦いでした。大変な業務も多く、かなり苦労はしました。しかし、入社1年目から様々なクライアントや規模の大きな責任ある業務を任せていただいたことにより、何があっても諦めないこと、何かをやり遂げることの楽しみ、粘り強く業務を進めることなどが身につき、鍛えられました。

PRの仕事をする中で、自分が興味のあるものにもっと深く関わりそれに対して広報をやっていきたいと考えるようになりました。そして、どうせやるなら代理店ではなくインハウスの仕事を探そうと転職することを決めました。自分の一番興味のあるところが「大学」だったので、求人を探したところ、そのタイミングでは母校での募集がなかったので、他校に応募し、ある女子大に採用されました。慶應と比べると、大学の規模が小さかったので、国際センターに所属していたのですが、広報、学生の就職などの面接や、入試に関わることなど、あらゆる業務を兼任していました。逆に言うと、小さな大学だったので大学の仕組みや運営などを全般的に学ぶことができました。また、マンモス大学と比べると学生数が少なかったため、学生との距離も近く、学生との接し方や教育について多くの学びがありました。その女子大で2年間勤めた後、念願であった母校である慶應義塾で現職に就くことができました。

慶應義塾を海外で知られる大学にしたい

現職では、三田学生部の国際交流支援グループに所属しています。学生部は100名規模の大きな組織で、日本人学生、外国人留学生を問わず、すべての在学生の学事・学生生活全般に関わるサービスを提供しています。学生部国際交流支援グループでは、全学レベルの交換留学、短期プログラム、イベント、国際センター講座の運営の他、様々な国際交流業務を担っています。私は交換留学の派遣担当として、学内選考から留学前・中・後の学生のサポートを行っています。また、留学フェア等のイベントの企画・実施、パンフレットの制作、HP/SNSの運営など、学内広報の業務も担当しています。大学職員と聞くと地味でまったりとしたイメージがあるかと思いますが、入社した翌月には海外出張で協定校の担当者の方々と面会をしていたり、学生数百人の前で説明会を行ったり、海外研修プログラムの学生の引率をしたり、刺激的な業務も多く、日々新しいことに取り組んでいます。もちろん、細かい業務も多いですが、母校のために働くということ、学生生活を充実させたいという思いから、高いモチベーションでそれぞれの業務を進めることができています。

海外留学は、学生たちの特権だと思います。留学することによって、外から日本の良さを見る機会にもなり、自分のいる環境の良いところも悪いところもみえてきます。海外に出ると、日本ほど便利で安心な国はほとんどないし、日本人のように親切な人が多い国は少ないので、本当に苦労するんですよ。でも、その苦労すること、大変な思いをすることで誰かに助けを求めたり、交渉したりと問題を解決していくうちにメンタルも問題解決能力も高まっていきます。学生の皆さんには、社会に出る前にぜひそんな経験をして欲しいなと思います。
私の海外滞在経験、慶應で過ごした学生生活、社会人になってからの業務経験、好きだったことも苦労したことも含めて全ての経験が今、慶應義塾での仕事に役立っていると思います。まだ転職して1年近くですが、今の職場では私の提案であっても、上司がよく話を聞いてくれて、新しいことを始めるチャンスを与えてくれています。例えば、最近の学生は読むことが苦手なので留学広報用に動画を取り入れることを提案すれば、それが採用されたり、SNSを活用することも始めることができました。PR会社で働いていたからこそ分かることがたくさんあります。自分の母校である大学が大好きなので、とてもやりがいがあり、楽しく仕事をさせていただいています。キャンパスで自分が学生時代にお世話になった先生などに会うと、学生時代に戻ったみたいな感覚になり、とても嬉しくなります。

今後やりたいことは、海外で「慶應義塾大学」と言っても、人々に反応してもらえるような大学にすることです。海外では、日本の大学はほぼ知られていないのが現状です。自分が「慶應を卒業したんだよ」と海外に住んでいる友達に言っても、誰も知らなくて悔しい思いをしました。なので、「慶應義塾」を海外で誰もが知っている教育機関にすることを目標に、日々新しいことにチャレンジしていきたいです。